Ultimate Guitar.comのインタビューの続きです。Whitesnakeで、初めて作曲段階から参加したレブ。デビッド・カヴァーデルの作曲過程や、われわれが待ちわびてきたインストのソロアルバムについて、そしてジェフ・ピルソンとの新プロジェクトについて。
―Whitesnakeに加入したのは2000年代始めでしたね。「Whitesnakeサウンド」に合わせなければと思いましたか?興味深いことに、あなたはかなり長い在籍メンバーになり、あなた自身がWhitesnakeサウンドになったわけですが。
合わせるつもりはなかったよ。ダグ・アルドリッチがしっかりやっていたから。ダグはかなりジョン・サイクスらしく弾くし、サイクスのものが上手い。なので、ブルージーなソロは全部俺に任せたし、それがドンピシャだからよかったよ。でも、そういう意味じゃないよね。俺にとっては、Whitesnakeサウンドとは、サイクスなんだ。1987アルバムが出た時、急いで買いに行ったよ。あんなサウンドは聞いたことがなかったし、夢中になった。
カセットにダビングして、車でよく聞いていたんだ。 ロックしていて、’Crying in the Rain’ のギターなんか、本当にすごい。ギターだけを聞いても、やばいよね。惹きつけられてしまう。Van Halenの1stみたいだった。だから、俺にとってのWhitesnakeサウンドは、あの驚異的なサイクスのギターなんだ。聞く人それぞれにWhitesnakeサウンドがあると思うよ。Whitesnakeは初期にはブルース・バンドだったしね。でも、俺はそれを知らなかったんだ。1987が大ヒットしたから、アメリカではWhitesnakeとは’Here I Go Again’だと思われているんだよ。それ以前は知られていないんだ。
―ここ数年でWhitesnakeはまた変化しました。今、ギターはジョエル・ホークストラとやっていますね。
たしか俺は46番目のメンバーなんだよ。前にみんなで確かめたことがあってね。
―本当ですか?
うん、40番台で、確か46番目だった。もちろん、ドラマーやベースも全部入れてね。
―すごいギター・コンビが在籍してきました。Whitesnakeはいつもいいギタリストが在籍していますね。
たしかに。デビッド・カヴァーデルは、ベストだけを求めるんだ。
―いいギタリストであると同時に、新譜には作曲のチャンスもあった。デビッドと作曲する立場ですよね?
期待はしていなかったんだ。まったく違うことだからね。俺はデビッドがあんなに良いソングライターだと思っていなかったんだ。彼は、何をしたいかをよくわかっている。5分以上話をすることはなくて、ギターを持って、いくつかコードを弾く。それだけなんだ。
新譜では彼がほとんど書いている。俺たちが行った時には、アイデアはもうできてるんだ。俺は40個くらいアイデアを持ちこんだけど、デビッドに聞かせるのは、かなり難しい。彼に引っかからなければ無駄になってしまう。3コードみたいな、誰でもいいなと思うようなものなんだ。Wingerとは違うし、Rushとも違う。そういうのはデビッドは好まない。彼は3コードのロックが好みで、書くのもそういうものだ。それがやりたいのものなんだ。即断即決だよ。曲のベーシックなところができたら、「これがブリッジだな」と進めて、自分で弾いてみる。コードがおかしかったりしたら、後で俺たちが直すんだ。曲がだいたいできて5分経ったら、仕上げる。’Shut Up and Kiss Me’は俺のアイデアで、あとは ‘Hey You’と大曲の ‘Sands of Time’がそうだね。
‘Sands of Time’はデビッドと一緒にやって、ちょっと時間がかかった。レッド・ツェッペリンっぽい曲だったんだけど、デビッドと一緒にやってホワイトスネイクっぽくなって、嬉しかったよ。
―アルバムがホワイトスネイクっぽくなったということは、あなたがWhitesnakeだから、ということですね。
ネットのレビューも見てるけど、このアルバムを客観的に見るのは難しいよ。だって、80億回は聞いてるんだから。1年半かけたんだ。デビッドのところに住みこんで、毎日作業してさ。だから、多くの人がWhitesnakeらしいと思ってくれたら、嬉しいね。
―ギターに焦点をあてると、期待通りあなたとジョエルのソロがすばらしいです。’After All’ とか、すばらしい表現でした。どのようにつくったのでしょうか。
デビッドの書いた曲だよ。デビッドが「これが曲。よろしく」ってね。
-他の曲とは、明らかに違いますね。感傷的なギターが入っていて。
美しい曲だよね。しばらく聞いてないけど、すごく美しいと思ったよ。デビッドが弾いて見せた時、「これはぜったいアルバムに入れなきゃ」って言ったんだ。すてきな曲だよ。この曲でアルバムの最後を飾ったほうがいいとね。
―クールなスライドギターが入っていますね。これはあなたなのでしょうか、ジョエルでしょうか?
俺もやったよ。その時々で2人で分けるんだ。ジョエルの方がたくさん弾いているよ。スライドのソロは、俺は2つくらいじゃないかな。ほとんどジョエルだね。
―ジョエルも共同作曲者とクレジットされていますね。ギターのパートやソロはどうやって分けたのですか?
ジョエルが分けたんだよ。俺がWingerで不在にしている間に彼が来て、デビッドと曲を書いていたんだ。2通りの作曲過程があって、それぞれがデビッドと書いたもの、3人で書いたものがある。ほとんどがそれぞれで書いたものだけどね。ジョエルはデビッドのアイデアを磨いて、出したんだ。いつもギターを持ち歩いていて、よく「これ、どう思う?」とか「あれ、どうだったかな?」って言っていた。曲はバババッ!とできていった。
どっちがソロやるかについては、基本的に俺がやりたいのを弾いて、残りをジョエルが弾くんだ。ジョエルはなんでも弾けるからね。そういうのを彼は気にしなくて、何でも弾けて、そこがすごいんだよ。レベルが違うんだ。どんなリズムでもすごいものに仕上げるし、すごくいい。しかも、ほとんど一発録りだよ。
ジョエルは自分が弾いたものを覚えてて、すぐに再現できる。俺はできなくて、その度に違うものになるんだけど。ソロを決める時は、そのパートを見て、ギターを持って自分が弾きたいかどうか考える。だめなら任せるんだ。ジョエルに弾けないものはないからね。なので、俺は弾きたいものを選べるし、ジョエルはオッケー!って感じなんだ。
―あなたのソロは、即興で弾いたのでしょうか、それとも練りましたか?
7つのソロをつなぎ合わせるとか、編集はしたくないんだよね。だいたいは元になる、いいものあるんだ。一番いいテイクを選んで、他のパートをつなぐ。すごくいい出来のものがあったら、それを完成させるんだ。忘れちゃいけないのは、デビッドは「速弾きはだめだぞ」って言っててね。メロディックにしたかったみたいなんだ。ジョエルにもそう言ったかは知らないけど、デビッドはメロディックに弾かせたかったんだ。好みなんだね。だから、このアルバムではそういうプレイになっているよ。
―ペダルなど新しい機材は使いましたか?
ペダルにはこだわらないんだ。昔はいろいろやったけど、結局アンプに直につなぐのがベストだね。ディストーションは使うこともある。タッピングの時にコンプがかかって、一音一音がくっきりするんだ。それ以外はCustom Audio直で、後で調整する。できるだけ、足したくないんだよね。たまにワウは使うよ。ジョエルはいつもワウを使うね。
―最近はKempersとか Fractalsなどモデリング・アンプが人気です。興味はありますか?
あんまりそそられないな。他人がいういい音っていうのは、違うなと思うんだよ。以上。
マーシャルの音が大好きなんだよ。ビッグでファットな真空管サウンドが。個人的にはあの音を完璧に再現したものは、未だ無いと思うよ。だから、ジョー・サトリアーニやスティーブ・ヴァイ、エディ・ヴァン・ヘイレンといった偉大なギタリストが、こういう大きくて重いアンプをツアーに持って行くんだろうね。あのでかいラックを持って行くのは、本当に大変なんだよ。でも、音が断然いいんだよね。
Kempersとかは、スタジオではいいし、使いやすいよ。Whitesnakeでは直にしてほしいと言われるけど、トーンがおかしくなるからやりたくないんだ。
―じゃあ、キャビネットにマイクを立てているんですか?
うん。Shure57を立てるのがいちばんいい。30年、それでやってきたからね。俺のやり方なんだ。ライブでは320ミリセカンドでディレイをかけるんだけど、ジョエルは嫌がるんだよ。イライラするんだって。「曲のテンポを変えるのかよ?」って言うんだけど、「いやいや、イラッとするだけじゃん」って答えるんだけどね。俺はめんどくさがりの、ビール飲みの80年代ギタリストだからさ。でも、このディレイをかけた音でずっとやってきたんだ。
―そのディレイでトーンに厚みを持たせているんですよね?
そうだよ。ドライな音は嫌いなんだ。
―では、ソロのインストゥルメンタル・アルバムのことですが、もう何年も前から待っていますが。
あーもう、たたりか何かみたいだ。仕上げたよ!もうレコード会社に渡してある。ただ、日本向けのボーナス・トラックが必要になってね。あと、税金の手続きができていなかったことがわかって、それをやらなきゃいけないんだ。でも、それも着手しているし、最後の曲もできた。「日本のボーナストラックなんて、どれかのソロをちょっと変えたやつでいいんじゃないの?」って友だちに言われたけど、だめだよ。日本のファンは俺も大好きだし、一番大事なんだ。彼らはすごく音楽を愛しているし、ていねいに聞いてくれる。このアルバムも誰よりも気に入ってくれると思うんだ。だから、がっかりさせたくない。それで、ほぼできている曲の中からもう1曲、レコーディングすることにしたんだ。ちょうどアウトロのソロを撮ったばかりで、ベーシストに送ったんだ。そのほうが早くできるからね。今年中に出せるよ。契約とかも全部済んだ。めっちゃいいものができたよ。
ツアーから帰ったら家でやる趣味みたいにして、何年もやっていたんだ。キップ・ウィンガーが、あれはどうしたんだって聞いてきて、パソコンの中だよって言ったんだ。そしたら、なんで出さないのかって言うから、他のドラマーとかミュージシャンに払う金がない、あと5000ドルかかるんだよって言ったら、5000ドル貸してくれたんだ。それで、俺のナンバーワン・ドラマーのデイブ・スロックモートンにやってもらった。デイブは2003年に出した「Masquerade」でも叩いてくれている。
―前のソロアルバムを聞いた人たちも、新しいソロはびっくりするようなものになっていますかね?演奏や作曲の面で。
いい質問だ、そういうのを待ってた!その通りだよ。Wingerが下火になってしまった頃にインストアルバムを作りたくて、「Fusion Demos」を出した。まだWingerで名が通っていたから、レコード会社はWingerっぽいものを求めていたんだ。でも、インストものには興味ないし、売れないと言って、どことも契約できなかったから、自分のウェブサイトで売ったんだけど、サイトで一番売れたのが「Fusion Demos」だよ。それで、4トラックのカセットで作ったんじゃない、ちゃんとしたインストものをずっとやりたいと思っていたんだ。自分も作曲やレコーディングのスキルが上がって、サウンドもしっかりバンドがやっているようなものができるようになった。ずっと温めていたんだよ。
よくあるギタリストのインスト・アルバムではなくて、ロックしてて、抒情的で、ジャズっぽさやファンキーなものが混ざったもの。それでいて、誰も聞いたことがないようなものだよ。みんな、びっくりすると思う。
―私はギター・インストおたくなんですよ。
これは、よくある弾きまくりみたいなのじゃなくて、かなりメロディックなんだ。もちろん、テクニカルなものも入っている。自分では最高の演奏ができたと思っているよ。
―30年やってきましたね。ミュージシャンとして成功したと思いますか?
やっと食えるようになったと思うんだ。音楽でいろいろ払えるようになったんだから、成功したと思う。自分にできることといったら音楽をつくること、そして演奏すること。あとビールを飲んでツアーして回ることだけなんだ。世界でいちばんすてきな仕事だよ。ウーバーの運転手に愚痴ったことがあるんだけど、彼は「愚痴るような事かい?」って言ってね。「そうだ、あんたの言うとおりだ!俺は地球上でもっともラッキーな人間じゃないか!」って思ったんだ。やりたいことで生活できる、それが成功してることじゃないかってね。
―すごいプロジェクトをやっているという噂を聞きましたけど?
そうなんだ。バンド名はまだ言えないんだけどね。もうできている。これからミックスして、今年中に出るよ。今年は新作が3つ、出る。ソロアルバムと、Whitesnakeとジェフ・ピルソンとのプロジェクトがね。ジェフとのプロジェクトはすごく楽しみにしているんだ。全部に自分のアイデアが入っているからね。一緒に全部で10曲書いたよ、11日で!1つだけ、すごく時間がかかっちゃったからなんだけど。
俺とジェフはドッケンの時に 「Erase the Slate」を一緒にやって、それからずいぶん経ったけど、その時に持っていた宿題をようやく出せたんだ。Wingerっぽくないアイデアで、キップが使わないアイデアがあって、ベーシックなロックで気に入ってたから、どこかで使いたかった。でも出す機会がなかったんだ。30~40ぐらいあったんだよ。Whitesnakeでも出してみたけど、デビッドはそのうちの1つは使ったね。ジェフも気に入ったのを使った。基本的にヴァースとコーラス部分なんだ。ジェフがすごいのは、だいぶ昔のことなのにしっかり覚えていたことだよ。彼は真面目なディレクターでありアレンジャーだ。そういう存在が俺には必要なんだよね。アレンジはぜんぜんだめなんだ。キップといい仕事ができるのは、そこなんだよ。俺はすごいリフを書ける。ギターを弾けばリフを書ける…この才能にはほんとに感謝しなくちゃいけない。ジェフはそのリフをささっと、これはブリッジ、これはアウトロと判断できる。俺もだいたいわかるんだけど、彼は自在にできるんだ。
ジェフが「これをF#にしよう」とか言うんだけど、そんなの俺には思いつかないよ。そうやってものすごい速さで曲ができていった。リフやアイデアを出したら、ジェフがすぐに曲を仕上げる。すごいチームだし、ジェフはいい仕事をするんだ。スーパー・ナイスガイだし、エネルギッシュなんだよ。
ほとんどのソロが一発録りで、そんなのこれまでほとんど無かったよ。すごく楽しかった。すごいプロジェクトになるよ…本当にロックしてる。ロビン・マコーリーが歌うというのもすばらしい。まさに80年代のロックだ。みんながヘドバンして、一緒に歌いたくなる…そういうロックだね。
―それは、プロジェクトなのでしょうか、バンドなのでしょうか?今後もアルバムを出しそうですか?
できたらいいね。すごくいいと思う。根拠はないけど、絶対にライブができるバンドだよ。失敗するならやらないし、ぜったいにそうはならないね。すごくいいものだから。しょうもない要素は何もないよ。だから、バンドとしてもっとアルバムをつくるべきだね。
―2019年はあなたにとってすごい年になりそうですね。
もっとギターに専念したいよ。いろんなプロジェクトで弾いてきたし、打ち込んできた。子どもの頃にずーっとギターを弾いていたいなあと思った情熱を思い出させてくれたんだ。学校から帰ってきたら、マリファナ吸って6時間ぶっ続けでギターを弾いてた。エレキギターを持って最初に練習したのがモリー・ハチェットのアルバムで、全部の曲を最初から最後まで、ソロも何もかもをやった。ぜんぶ独学でね。ソロは簡単だった。シンプルなペンタトニックで、超簡単なソロだから、ロックスターぽく弾けたよ。ベッドからマットレスを外してステージに見立てて、ロックスターごっこをやってたよ。友だちがきたら“Green Grass and High Tides”をぜんぶ弾いて…そうやって身に付けてきたんだ。今はもっと弾けるようになったけど、 そうやって実地に積み重ねてきた。そうやっていけば自分だけのスタイルや声を身に付けられる。ビリー・ギボンズみたいに、一音聞いただけで「あれ、ビリー・ギボンズだ!」ってわかるようにね。そういうギタリストが最高にかっこいいし、それを目指している。
―そうなるために、最近やっていることはありますか?
信じられないかもしれないけど、全弦を使ってのペンタトニック・スケールの上昇・下降を練習してるよ。ここ数カ月だけど、自主的にやろう、って思ってね。今までそんなのやったことなかったし、スケールは3つしか知らなかったんだ。
―その3つのスケールだけで十分だったんですね。
そうなんだ、80年代ロックには3つでよかった。耳で覚えただけなんで、ハーモニック・マイナー・スケールをいつも弾いてたんだ。でも、意識してなかった。
―音楽理論を知っていれば、そのスケールがどういうものかがわかりますよね。でも、弾けるかどうかは別問題だと。
そうだね、でも他のミュージシャンとやるときには、役に立つよよ。学校出身のミュージシャンとやると、「それはEじゃない、Dだよ」とか言われるから、嫌な思いもするけど、その音なんだ。そういう時に役に立つよ。
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